娘は7歳。最近、年頃になってきたのか、妻が化粧をしていると、じっと見つめては同じように真似をしたがります。
ピンク色のリップクリームを塗ってみたり、小さな爪にマニキュアをつけてみたり。
鏡の前で嬉しそうに笑う姿を見ると、「ああ、女の子だなぁ」と改めて感じます。
お洒落な洋服にも興味が出てきたようです。
でも、娘は下半身不随で立つことができず、さらに側弯症の影響で背中に大きなコブがあります。
身長も健常児と比べて小さく、2〜3歳児ほどの大きさ。
そのため、着られる洋服はどうしても限られてしまいます。
かわいい服を見つけても、サイズが合わなかったり、背中の形に不向きだったり、車椅子で長時間座っていることを考えると避けざるを得ないものもあります。
同じような障害を持つお子さんの親御さんたちは、どんなふうに工夫してお洒落を楽しませているのか――
ふと、そんなことが気になることがあります。
娘ももう少し大きくなれば、自分でアイデアを出して、お洒落を工夫していくのかもしれません。
「この服なら座っていても楽だよ」「こっちの生地のほうが背中が痛くないよ」と、自分なりに選べるようになる日が来るのかな、と想像すると少し楽しみにもなります。
実は妻は、近い将来「障害のある子でも着やすく、かわいくお洒落を楽しめる洋服」を扱うアパレルのお店を持つことを考えているようです。
娘の悩みや気持ちがわかるからこそ、同じ境遇の子どもたちや親御さんの力になりたいと思っているのだと思います。
妻が思い描くお店は、ただ服を売るだけの場所ではありません。
障害があっても“自分らしくお洒落を楽しめる”、そんな体験を提供できる場所にしたいそうです。
着やすさや動きやすさはもちろん、車椅子で長時間座っていても負担が少ないデザイン、背中の形に合わせたゆとりのある服、そして何より「可愛い」「着てみたい」と思えるラインナップ。
娘を見ていると、どれも大切なポイントだと痛感します。
親としても、娘が「似合うね」「可愛いね」と言われて嬉しそうにする姿を見ると、お洒落の力って本当にすごいなと感じます。
お洒落は単なる見た目の問題ではなく、自信や自己肯定感にもつながるもの。
だからこそ、選べる幅が少ない現状をなんとかしてあげたい、という妻の気持ちはとてもよく分かります。
同じような悩みを抱える親御さんたちとも、いつか情報交換ができたらいいなと思います。
服の悩みは、それぞれの身体の特性によって本当にバラバラで、「これなら大丈夫!」という正解がないからこそ、経験者同士で工夫を共有できたら心強いはずです。
娘のお洒落の悩みを通して、私たち家族は「できないこと」ではなく、「どうすれば楽しめるか」を少しずつ探してきました。
それは、同じような障害を持つ子どもたちとご家族も、きっと同じなのだと思います。
もし、どこかで同じ悩みを抱える誰かがいたら、
「うちも同じだよ」「こんな工夫をしているよ」
そんな声が聞こえてくるだけで、少し心が軽くなるはず。
娘には、これからも自分らしく、お洒落を楽しんでほしい。
そして私たちも、できることを工夫しながら、その小さな喜びを一緒に積み重ねていけたらと思っています。
今日もまた、娘が鏡の前で笑ってくれますように。

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